今日は自分が「君の名は。」で一番好きな奥寺先輩の話です。奥寺ミキって名前がいかにもお姉さんっぽい(適当)。ちょっとあざといビジュアルも勿論良くて好きなんですけど、それだったら三葉に軍配が上がっちゃうんですけど、そんなことよりも内面が好きすぎるんですよね。瀧くんと三葉に目が生きがちな作品ですが、彼女がしっかりハッピーエンドを迎えるまでの物語も端々から読み取れるので、そのあたりを意識しながら自分の思う奥寺先輩の魅力を伝えていきたいです。

余談ですけど、奥寺ミキのミキって名前全然呼ばれてなさそうですよね。いつでもどこでも奥寺さんとか奥寺先輩って呼ばれてそう。名前を呼べるのは彼氏さんだけの特権かもしれないなとか考え始めると胸の中がじんじんしてきます。

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画像は公式サイトから。ポニーテールが大好きなので、横顔は「君の名は。」のキャラクターの中でも相当好きだったりします。女子大生ってことを感じさせないくらい見たい目から大人っぽい雰囲気が漂ってる。


基本的に完璧な、みんなの憧れの先輩

この手のキャラクターって、弱さを見せないのがお約束なんですよ。常に主人公の憧れの場所にいて、同じ地上には降りてこない。降りてこないからこそいつもどこかで主人公を支えてくれるような存在です。でも人間そんな完璧なところばっか見せて生きていられるわけでもないです。

この人に関して言えば、たとえ好意を持っていたとしてもそれが表面には絶対出てこない、もしくは出たとしても瀧くんには絶対に気づかれないタイプです。瀧くんは三葉と出会うまではこの先輩にちょっとだけ恋してたし、先輩もちょっとだけ瀧くんのことが好きだった。それなりに意識し始めたのは三葉が瀧くんの中に入り始めてからですけど、それでも必死に好意を押し殺して憧れの先輩というキャラクターを演じていたように思えます。

そもそも例のデートシーンに入るまでの流れって三葉視点ですけど、ごっそりカットされてたんですよね。必要ないと言えば必要ないですがちょっとだけ見てみたかったかも。完全に妄想ですけど、もしこれが奥寺先輩の印象をぼかすためにあえてカットしたという話だったら燃え上がりますけど。


瀧くんに入り込んだ三葉に恋をすることと、ある種の失恋をすること

以前から瀧くんのことはちょっとだけ好きだった先輩ですが、三葉が入り始めてから意識という意味では更に好きになります。中に入ってるのは当然三葉だけど、この人はそんなオカルトを信じるような人じゃない。実質好きになったのは三葉だけど、先輩からすれば好きになったのは瀧くんです。

意を決してデートに誘う。三葉からすれば遊びみたいなもんだと思うけど、先輩からすれば半分くらいは本気だったんじゃないかな。でも彼女は多分本気だということを微塵も感じさせる人じゃないです。オフショルって自分からしたらめっちゃ気合入ってるように見えるけど、多分瀧くんから見た先輩ってこのくらいは平然とやってのけちゃうだろうなくらいの人間像は出来てるような気がします。

勿論以前の瀧くんならこのデートはすごく嬉しい三葉からのプレゼントだったはずなんだけど、この時の瀧くんは絶妙に三葉しか見えてない上、女経験が乏しすぎてどうにも喋れない。それでも何とかして好きな先輩に尽くそうとしているわけでもなく、どこか三葉のことを引きずりながらずっとデートしている。

せっかく好きになった人がどことなく他のこと考えてる感じでデートしてたら、無理してるように感じちゃったら、せっかくのデートも辛気臭い感じになっちゃうじゃないですか。夕飯前に解散を切り出すというのはそういうことだと思います。そして察しがいいから瀧くんが別の誰かのことを考えているということも分かってしまう。本人は勿論否定するけどね。こういう勘だけはなぜか当たってしまうものだと思います。


飛騨の旅館でタバコを吸うシーンについて

ちょっと好きでデートに誘ったらその頃には別の誰かのことを見ていたってあんまり信じたくない状況です。少なくとも自分だったらね。気になってた動機がたとえ「可愛い」でも、気になってたことには変わりないし、なんか凄く負けた気分になります。どういうことなんだろうなと思って飛騨に一緒に行くことにしたのもこれが動機なんだと思います。

行ってみたら行ってみたで、糸守の真実を突き付けられながらも、絶対に諦めきれないような表情で亡くなったはずの彼女を探す瀧くんの姿がある。彼に入っていたのは三葉だったということに気が付くまでもなく、彼が変わった原因は間違いなくその彼女にあることを悟る。自分がちょっと気になってた瀧くんは既に自分の知らない誰かに会って変わってて、自分は所詮はそれに影響されただけだったことに気が付いてしまう。

長年辞めてたはずのタバコを瀧くんの見てないところで吸ってしまいます。別にタバコを吸うこと自体は悪いことじゃない。でも久しぶりに吸いたくなるような状況って、何らかの大きな衝撃があってかなり心が乱れていたとしか自分には思えませんでした。少なくとも小説版ではここでのタバコを吸いながら司と話すシーンはカットされてたから、瀧くんには全く気付かれていない。

少なくとも瀧くんの前では一切弱さみたいなものを見せない先輩ですが、司相手とはいえ初めて弱さを見せた瞬間だと思います。だからこのシーンには劇中随一の美しさを感じてしまいました。天の上にいた先輩も人間だったんだなって感じると同時に、彼女もまた瀧くんに一本取られて、その上で三葉に敗北しちゃったんだなって。


薬指に光る結婚指輪

もしかしたらこんなたいそうな感情の動きは起こってないかもしれないけど、少なくとも自分の中の奥寺先輩はこのくらい繊細な人で、完璧の中にもちゃんと人間を感じることができました。だからこそ、これは小説版の方が分かりやすいんですが、最後にしっかり救いがもたらされていたことに非常に心を打たれました。

なんでも奥寺先輩と司はあの後2人で帰ることになったわけですが、ちゃんとその時に飛騨を冒険したことは彼女の中でちゃんと思い出にはなってて、けじめをつけることができてます。良い人だからこそ立ち直りも早いんでしょうね。もしかしたらあのタバコを吸ってる瞬間だけが彼女の弱さだったのかもしれませんし。

東京で再び就活中の瀧くんと会った奥寺先輩は、当時の面影を残しつつも、人間として一回りか二回りくらいは成長してるように感じられました。以前は職場の憧れの先輩でしたが、今度は人生の先輩という感じ。逆境も乗り越えて大人としてある種達観してるようなイメージ。

「君もいつか、ちゃんと、しあわせになりなさい。」

その先輩もその時には薬指に結婚指輪が光ってて、良い相手を見つけたんだということが分かります。この台詞には奥寺先輩が自分が今は幸せになったということを象徴すると同時に、かつて自分が少しでも愛した人へ投げかける言葉。公式ビジュアルブックのインタビューに載っていたのですが、新海監督いわくこの言葉は映画を見てくれた人全員にも投げかける作品からのメッセージにもなっているっぽくて、どうでもいいけど自分の中で奥寺先輩が更に大きくなっていくのを感じました(信者)。

この人って、結局はめちゃくちゃ優しいんですよね。そしてお節介。だからこそ世話の焼けそうな瀧くんを少しだけ好きになってしまったのかもしれない。こういう人はどこへ行っても自分の手で幸せを掴んで帰ってくるような気がします。自分がしっかり出来てるから。なんというか人間性にも憧れちゃうし、本当にどこまで行っても大好きなキャラクターですね……。

(9/14追記)
これ書いた後に、「司と同じ結婚指輪してない?」なる考察を見つけてしまったのですが、この組み合わせはこれはこれでありなんじゃないかなと。具体的に2人で何してたかというのは飛騨に行った時の話しか分からないですけどね。実際自分の好きな例のシーンで話聞いてもらってたのも司だったし。もしかしたら裏設定などがこの先公開されて真実が分かるのかもしれないけど、もし事実として2人が結婚するなら絶対に幸せになってほしいです。


まとめ

とりあえず自分の大好きな奥寺先輩を言語化してみましたが、なんか好きなものほど言語化が上手くいかないような気も。憧れの先輩キャラだったはずが自分まで心の芯から憧れてちゃどうしようもないですね。こういう人が出来たキャラクターにはどんどん感情移入していきたいし、1人の完成された人間物語としてどんどん追いかけていきたいものです。


「君の名は。」キャラクター感想
宮水三葉」「三葉×瀧」「名取早耶香」(「雪野百香里」)