お久しぶりです。ちょっと書きたいことができたので、長らく放置されていましたが少しだけ帰ってきました。

今はユーフォ3期が放送されていて、もうすぐ終わりかけのところまで来てしまったわけですが、何と言っても目玉は久美子と真由の再オーディションですね。京都大会ではソリストのポジションを久美子が取り、関西大会では真由が取ったわけですが、それは終わった話であり、目先の全国大会のソリストを決める大切なお話となりました。

自分が別に吹奏楽に特別詳しいわけではないので、素人目での感想にはなりますが、ユーフォの物語が佳境を迎える上で非常に大切な場所だと思ったので、ここに書き残しておきたいと思います。

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画像は公式あらすじから。オーディション前の2人のやりとりがとても印象的でした。


2人の演奏について

自分が初見で聞いた時、あるいは再度聞いた時に感じたものです。

真由の演奏
・トランペットの音を下から支えるようなイメージ
→あくまでも主役は高音なので、低音パートとしてのユーフォは前に出すぎない演奏ができている。
・終始落ち着いていて演奏の振れ幅が少ない
→実力の表れ?

久美子の演奏
・終盤にかけてギアが上がるイメージ
・トランペットの音がそれに合わせてあげてくるようなイメージ
→低音パートが主役なわけではないため、麗奈側が分かって合わせるのは本来不自然と考える。

あくまでも直感的な話にはなるのですが、全国大会という舞台で評価されるのはどちらか?という観点で見る場合、真由が吹いた方が落ち着きがあってプラスに働くのではないかと思います。麗奈は久美子の音を分かっているはずなので、勢いや第一印象の判断では久美子に傾きやすいのかなと感じました。

ちなみに自分は初見では2番の音の方が好きだったので、久美子側を選んだことになります。麗奈との相性の問題もあったかもしれませんが、よくよく考えると低音側の主張が強かったような気もするのでとても難しいですね……。正直何回聞いても違いがあんまり分からないです。


オーディション判断について

ここが今回面白いなと思ったポイントでした。

真由を明確に選んだ部員のうちピックアップされたのが葉月とつばめの2人、久美子側でピックアップされたのが梨々花、緑輝、秀一、奏の4人になります。


真由側

葉月がピックアップされたのは、おそらくフラットな気持ちで音を聞いて判断していたからかなと考えています。同級生の4人組の中で、唯一久美子に肩入れしない…少し意地悪な言い方をすると、聞き分けができていないので純粋に上手いと思った方を選んだ可能性が高いです。進路に音大を視野に入れていないし、高校から始めた初心者というのもあります。

つばめはおそらくですが、真由の音を分かった上で、純粋に上手かった方に入れていると考えます。彼女は真由と話すシーンもあったし、唯一真由に選ばれてほしいと肩を持ち続けていた人間であり、真由の純粋な上手さとユーフォを吹く上での人間性を見抜いていることもあります。(「演奏してる真由ちゃんが、本当の真由ちゃんな気がするから」の発言より)
ある意味一番未来が見えていたのはパーカスのつばめの可能性すらありますね……。久美子世代の3年生でありながら、実力がフラットに見えているのは素晴らしいことだと思います。


久美子側

梨々花がピックアップされたのは、奏と仲が良く久美子の演奏を見抜いている可能性があることも挙げられますが、純粋に幹部の2人の相性の良さを評価しているのではないかと思います。実際人の情に訴えるという観点で見れば、(自分が選んでしまったのもありますが)久美子の演奏もそう悪いものではないと考えています。

緑輝、秀一、奏の3人は、久美子と分かった上で選んでいるのは間違いないですが、3人とも思惑は異なりそうです。

緑輝:友人を応援したい気持ちと、部を丸く収めたい気持ち
秀一:純粋に好きな人に全国大会で目玉部分を演奏してほしい気持ち
奏:真由の今までのアプローチが気に入らないため、久美子に吹いてほしいという気持ち

梨々花のことは一旦置いておいて、この3人にある程度共通して言えそうなことがあり、それは1番の演奏の方が良いと分かった上で票を入れているという点です。
コンバスの緑輝は言わずもがな、秀一も努力で麗奈に認められるほど上がってきた人間なので分かるだろうし、奏は9割方私情が混ざってますが、そもそも真由の実力が久美子のポジションを脅かす存在であることを認めています。


久美子は実質最低でも3票のハンデを貰い、それでもなお票数が同じに収まるという点において、演奏そのものの評価は真由が勝っていたと考えます。
極めつけには久美子の演奏を分からないわけがない麗奈に最終判断を委ねているという意地悪なシナリオ。上手い人間が選ばれるべきという、1年生の時のオーディションの考え方をそのまま持ってくるなら絶対に真由を選ばねばならず、私情で久美子を選ぶことができません。
そもそも自分が選ぶ前に決着がついていれば選ぶ必要がなかったという点でも、麗奈も込みで久美子の落選を納得させ、真由が選ばれる理由により納得感を与えています。
ここで音楽に正直な自分の判断を曲げずに久美子を落としたことは、麗奈の生き方の一貫性が保たれているという意味でも、非常に価値のある選択だったのではないかと思います。

麗奈がこの選択をした上で、大吉山で私情をぶつけて号泣しているのがとても人間らしくて大好きです。分かっていても選ぶのは1番でなければならなかった。これから音大で更に高みを目指す人間にとっては絶対に必要なことだったと思うし、更に言えばこの先の久美子の道は音楽ではないことを決定づけるような場面でもありました。
しかしながら「高校生活3年間をフルで捧げてきた結果」としての最後のソリストを真由に奪われた悔しさをぶつけるシーンというのは、分かっていても感慨深いものがあります。悔しさで涙を流せる人間は強い。


久美子のこれまでとこれからの雑感

ユーフォ3期は全体として久美子が進路に悩むシーンが数多く設置されています。麗奈はすんなり音大と進路を決めるし、音大進学前身の鎧塚先輩も夢を絞って受験に取り組むシーンがありました(そもそもオーボエが上手すぎる)。

そんな中久美子の演奏は、正直音大に進むには人生をかけきれていないというか、正直べらぼうに上手いわけではないというのが今までも数多く表現されてきました。結局どうなるかというのはずっと気になっていたポイントですが、進路の迷いに始まり、鎧塚先輩の演奏会で言われた言葉にほぼ確信し、最終的に出たその結果はこのソリストオーディションが全てだと思っています。
真由は実力があるからソリストパートを吹くべきだし、進学先として音大の選択肢もある。久美子がもし自分の音に対してもう一段階ストイックになれていたのであれば、また事情も変わっていたのかもしれません。

ちなみに自分としては、やっぱり久美子が吹くべきだったんじゃないかと思います。でもそれで金賞が取れなかったら?と考えると、真由で良かったような気もします。原作は久美子が吹いてるらしいので、ここからは分岐してアニメのオリジナル展開が始まると思います。
これから先13話と、おそらくあると見ている劇場版でどうなるかが非常に楽しみです。